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DATE: CATEGORY:杉並からの情報発信です
【推奨本朗読】衆議院議員石井紘基著『日本が自滅する日「官僚経済体制」が国民のお金を食い尽くす!』(PHP2002年1月23日発行)

第五十二回目朗読 (2019.03.08)

第二章 経済むしばむ“官企業”―特殊法人と公益法人など (P112-186)

http://www.asyura2.com/09/senkyo68/msg/1067.html

第二節 特殊法人は法的には幽霊だ (P122-130)

●四五五億円のホテル ― 雇用・能力開発機構 (P147-149)

ここ一〇年来、国内の観光地はどこも精彩がない。私は平成一三年五月、同
僚議員ら一〇名ほどで小田原市根府川にある公共の宿を訪れ、視察がてら勉強
会を持った。その施設は「スパウザ小田原」というリゾート型超高級ホテルで
ある。

私たちはロビーに到着するなり仰天して、口を開いたまま互いの顔を見合わ
せてしまった。二万坪という広大な敷地の中に一二階建ての豪華ホテルが建
ち、その中は、東京の一流ホテルにもない豪勢なエントランスとハイテクエレ
ベーターや高級家具などを配置した広い空間だ。一、二階の奥からは、これま
た贅の限りをつくしたバーデ棟(ドイツ風クアハウス)、スポーツ棟が連なっ
ている。スポーツ棟の二五メートルプールは屋外のもう一つのプールにも繋が
っている。

セミナー室、パーティールームなどのコンベンションホール、ライブラ
リー、エステティック、アスレチックジム、フィットネススタジオ、アリー
ナ、ジョギングコース、ゴルフ練習場、テニスコート、アミューズメントなど
の施設のほか、陶芸教室などを揃えたカルチャースペースがあり、メンタルヘ
ルスチェック、体力測定、医学的検査設備も完備している。

大浴場や洋風、和風の各レストランや展望カクテルラウンジにショッピング
フロアなどはもちろんのこと、屋外には外部の観光客も利用できる、しゃれた
バーベキューハウスもある。湘南の海が一望できて景色もいい。建設費は四五
五億円との回答だった。

これを造って経営しているのは、先に述べた旧労働省の雇用・能力開発機構
だ。みかん畑と山林だったところに道路を引き、高層建築を建てるには農地転
用などの許可が必要だが、これも官企業だからこそできたことだろう。官庁は
よく「民間ではできないことを(特殊法人などで)やるのだ」というが、たし
かに、民間では許可の面でも資金の面でもこんな恐ろしいことはできない。

この超豪華ホテルの宿泊料は平均して二万円弱。私たちが泊まった翌朝のレ
ストランは関西方面からの婦人団体客でごった返していた。公共の宿泊施設に
は、このように客足のよいものも少なくない。なにしろ国の特殊法人や公益法
人、県、市町村が権益を利用して造るから、土地代、建設費、利子負担が要ら
ないうえ、税金面でも優遇される。それでも毎年大幅な赤字経営で、平成一二
年度は二億二〇〇〇万円を国費で穴埋めしている。

小田原と熱海の間にこんなものができたお陰で熱海や伊東の旅館、ホテルは
倒産ラッシュに拍車がかかった、と旅館業者は怒り心頭に発している。熱海・
伊東付近には他にも公共の宿が多いから民間業者の受ける打撃は計り知れない
ものがある。

公共の宿は通常一泊七〇〇〇円とか、なかには五〇〇〇円台のものもある。
「ありがたい」と思う人があるかも知れない。しかしそれにはトリックがあ
る。差額は別のところで税金や公共料金として利息を付けてたっぷり取られて
いることを忘れてはいけない。公共の宿はほんとうはべらぼうに高いのだ。

私が、とくに公共の宿を問題にするのは、決して誇張ではなく、経済市場の
中の余暇、観光、レクリエーションの領域をこのように侵蝕されることで、地
域経済のみならず経済全体に甚大な影響を及ぼし、なおかつ税収を減らし、税
金を無駄遣いするからに他ならない。

公共の宿は全国に主なものだけでも三〇〇〇はある(全国旅行三団体協議会
調べ)。市町村営まで含めるとこの倍になる。全国の公的宿泊施設に投じられ
た国民のお金は、前記旅行三団体によると二三兆六〇〇〇億円にのぼり、将来
にわたる利息負担は莫大なものとなる。

平成一〇年に会計検査院が三七〇軒について行った調査によると、これだけ
でも一兆二八〇億円の公金が使われている。これらはすべて国民の負担である
から、あるいは利用したほうが得という考え方もあるかもしれない。

しかし私はいいたい。村民あげての“村おこし”など、観光の呼び水として
役立っている施設は別として、公的宿泊施設の利用は止めよう、公的宿泊施設
はつぶそう、と。とくに家族旅行で「子どものために」公的宿泊施設を利用す
る大人諸君には「子どもにツケを回してよいのか」と問いたいと思う。本屋さ
んの旅行書のコーナーには「公共の宿」の紹介本が目立っている。こんな本を
作る人も売る人も少し立ち止まって考えてほしいものだ。
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推奨本朗読】衆議院議員石井紘基著『日本が自滅する日「官僚経済体制」が国民のお金を食い尽くす!』(PHP2002年1月23日発行)

第五十回目朗読 (2019.03.05)

第二章 経済むしばむ“官企業”―特殊法人と公益法人など (P112-186)

http://www.asyura2.com/09/senkyo68/msg/1067.html

第二節 特殊法人は法的には幽霊だ (P122-130)

●論理無茶苦茶の「財テク」集団 - 年金資金運用基金 (P142-145)

年金資金運用基金は、平成一三年四月に年金福祉事業団から移行した特殊法
人である。名称は変わったが事業内容に大きな変化はない。従来、年金特別会
計が年金の積立金の全額を旧大蔵省の資金運用部に預託し、その資金運用部か
ら年金福祉事業団が借り入れて“財テク”を行っていた。

これでは国民の年金を利用した単なる天下りビジネスに過ぎないというの
で、平成一三年に名称を変更して年金資金運用基金とし、年金資金の全額を自
主運用することになった。しかし、これまでの年金の積立金は七年間の預託に
していて運用部から返ってこないため、この基金の事業内容は当面、従来とほ
とんど変わっていない。

ただし、将来は、一五〇兆円規模の年金積立金の運用がこの基金によって行
われることになる。これまでの放漫ぶりを見れば、まことに心配なことであ
る。以下に現在のこの基金の放漫経営ぶりを見てみよう。

国民から集めた年金資金は従来、旧厚生省の年金特別会計に入り、そこから
資金運用部に貸し込んできた。この累計が平成一一年度末で一四四兆円であ
る。資金運用部は、これを財投などに投じる。年金特会はこの利息として年五
~六兆円を資金運用部から受け取る。

ところが、一方、旧厚生省の年金資金運用基金は財投から逆に毎年五兆円程
度借りてくる。借金の累計は三六兆円である。そして、その利息が年一兆三〇
〇〇億円、元利合計で五兆円超を財投に支払っているのである。

つまり、旧厚生省は国民の年金の積立金を「運用」するため三・五%の利率
で資金運用部へ貸し付けたものを、そっくり三・六%の利息を払って借りてく
るという、とんでもない背信行為を働いているのである。

しかも、それを上塗りして、内職ビジネスで損を出しているのである。年金
資金運用基金は平成一二年度だけでも一兆八〇〇〇億円の欠損金を出した。従
来分を合わせた累積損金は、なんと二兆円に達しており、その穴埋めに毎年国
費が七二〇億円も注ぎ込まれているのだ。「年金の積立金を運用で増やす」と
はしらじらしい。無茶苦茶だ。

要するに、国民の老後のための国民の金は次から次へとタライ回しされ利用
され、行った先々で借金をつくり、その果てしなく積もる借金の利息に、行っ
た先々で国民の別の金(税金)が注ぎ込まれている、という構図なのである。

それでは年金資金運用基金は、借り入れた金三六兆円を使って何をしている
のか。うち約二七兆円は信託銀行、生命保険会社など機関投資家に託して国
債、外債などの債権・株式等で運用している。金額が莫大であるので各民間金
融機関は目の色を変えて、その獲物を競っている。事業団から金融機関に落ち
る受託手数料は一兆円につき年間二〇億円ほどといわれる。

この年金財源を使って公益法人を作り、金融機関から拠出金を召し上げてい
るのが、(財)年金保養協会の中に平成五年に開設された「年金資金運用研究
センター」である。

このセンターは、財団本来の目的とされる余暇保養の研究とは何の関係もな
い「資金運用手法の開発に関する調査研究」のために、年金資金運用基金が調
査研究委託費を出す一方、都市銀行、信託銀行、生命保険会社、投資顧問会社
など八七社から賛助会費を取っている。

年金資金運用基金は年金資金を株式や債券市場に投資しているが、旧厚生省
が売り買いのディーリングにまで手をのばすとは一体全体どうなっているの
か。行政マンが一日中相場に張り付いて切った張ったをやれる訳はない。おか
しいことが自らわかっていながら旧厚生省があえて設けた癒着組織といえよ
う。

年金資金運用基金の、もう一つの「財テク」は、住宅資金や福祉施設などに
対する融資事業と、ホテル、健康センターなどの施設事業である。資金は約一
〇兆円だ。

ご多分に漏れず、住宅資金貸し付けでは返済が六カ月以上延滞している不良
債権が四〇〇億円を超しているし、小口貸し付けでも四〇億円が返済不能状態
である。また、一四七万件の住宅貸し付けも金利が高いため二年度だけでも一
兆二五〇〇億円のローン繰り上げ返済があった。繰り上げ返済をされても「基
金」から財投への繰り上げ返済はできない仕組みであるから莫大な逆ザヤ損失
が生ずる。この分だけで一一年度四二〇億円の利子分が国費によって穴埋めさ
れた。

融資事業の対象としては、大規模年金保養基地「グリーンピア」がある。一
カ所一〇〇万坪の宿泊、レクリエーション施設を全国「三ヵ所(=基地)に展
開しようという(財)年金保養協会の総合ホテル経営事業である。理事長は元
厚生省事務次官の加藤威二氏。職員は一一一〇名で、事業部の一三名を除き、
すべてホテルの事務・運営管理に当たっている。

今日までの総投資額は一九三四億円にのぼり、これだけの国費を注ぎ込んで
も、ほとんどの施設が大赤字である。幾重にも天下り団体が介在したのでは成
り立たないのは当たり前だ。かといって天下り団体が介在しないのでは厚生労
働省として、わざわざ民間を押し退けてまでやる意味はない。

(続く)
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推奨本朗読】衆議院議員石井紘基著『日本が自滅する日「官僚経済体制」が国民のお金を食い尽くす!』(PHP2002年1月23日発行)

第四十九回目朗読 (2019.03.04)

第二章 経済むしばむ“官企業”―特殊法人と公益法人など (P112-186)

http://www.asyura2.com/09/senkyo68/msg/1067.html

第二節 特殊法人は法的には幽霊だ (P122-130)

●世界一の住宅ローン会社 - 住宅金融公庫 (P139-142)

住宅金融公庫は昭和二五年、戦後の厳しい住宅事情の中で、国民にせめて住
む所をと、床面積一〇〇平方メートル以下の家を建てる資金を貸す制度として
発足した。こうした事業は発展途上の時期には有効な政策だが、経済の成熟化
とともに民間にゆだねるのが普通だ。

アメリカを始めとする多くの資本主義国では、一般金融とともに住宅融資も
普通の銀行の仕事になっている。政府はせいぜいその保証なり、税制上の措置
を講じるなどをして、あくまで 「政策」の城を超えないようにしている。

しかし、政府(行政)によるビジネスは、政治家にとっても官僚にとっても
うまみがあるので、なかなかやめられない。住宅金融公庫も旧住都公団とのコ
ンビネーションで、どんどん縄張りを広げていった。とくに高度成長からバブ
ル期には乗りに乗っていた。

昭和五〇年には住宅リフォームにも金を貸すようになり、昭和六〇年には高
規格住宅、昭和六二年にはセカンドハウスもOKに。さらに平成六年になると面
積を二八〇平方メートルまで広げたのである。

そうなると次々に新たな“理論”が必要になる。いわく、「質の高い住宅」
「居住水準の向上」「長寿社会への対応」など、もっともらしい口実がつくら
れた。注文住宅、ビル、マンション建設、建売住宅、財形住宅、市街地再開発
まで何でもござれ、広さ・規模無制限、融資対象は個人でも公社でも再開発組
合でも、みんないらっしゃい、という具合で住宅、ビル建設など不動産の総元
締めとなり、東京都文京区の後楽園の隣に地上一六階、地下二階の超近代的本
社ビルを持つに至った。銀行にはローン窓口や査定などをやらせて少々の手数
料をくれてやる。そして、若干のローン貸しのおこぼれを銀行にも出せるよう
にしてやっている。

いまや、住公 (住宅金融公庫) の誇り高きキャッチフレーズは 「住ま
いに関するあらゆるニーズに対応する公庫」だ。平成八年三月まで四六年間の
融資実績は、戸数でじつに一五四七万戸。これは戦後建設された全住宅の三四
%に相当する。

こうしたなかで、住公の財投からの借金残高は平成一〇年度末で七八・五兆
円に達した。平成八年には六四兆円だったから二年ほどで二四兆円以上も借金
が増えたのだ。

年間の運営はどうやっているかというと、収入としては、財投からの約一〇
兆円の借り入れと、過去の貸し付け分の返済受け入れが六兆円弱ある。計一六
兆円である。

それに対して支出は、ローンの新規貸し付けが二兆円強、借入金の返済が利
子を含めて八兆四〇〇〇億円の計一九・五兆円となっている。これでは経費も
出なければ二五〇人の人件費も出ないから、国から利子補給金の名目で年に四
四〇〇億円の補助金を受けとる。

それでも毎年多額の損失金が出て、立ち行かなくなったので、平成九年末の
特別損失金六七一〇億円を政府予算に計上した。数年前にも損失金の“たまり
〟を税金で処理したが、またしても“たまり”が膨らんでしまったのだ。これ
らの特別損失金は向こう一一年間にわたって分割計上するから、その間の金利
は一二〇〇億円くらいになるはずである。したがって、平成一九年の時点にお
ける特別損失はまだ実質八〇〇〇億円あると言える。

住公は平成三、四年頃から「ゆとりローン」を大々的に売り出した。「ゆと
りローン」とは、当初五年間の返済額を安くして、六年目から返済額がハネ上
がっていく制度である。「六年後には給料も上がるから」といわれ、念願のマ
イホームほしさに不安を持ちながらも口車に乗った利用者は多い。しかし、六
年目がくるのは早い。その間に子どもはできるわ、税金なども増えるわで、返
済できなくなり、六ヵ月以上返済が滞っている延滞件数は二万件、三四〇〇億
円である。返済不能になり、公庫住宅保証協会の代位弁済に持ち込まれたもの
が約一万件、一五〇〇億円を超えた。

住公のもう一つ大きな問題は、最近の低金利で、住公の金利よりも市中金利
の方が大幅に安くなった結果、ローン利用者の多くが他の金融機関から借り換
えをして住公に繰り上げ返済していることである。平成七年以降だけで二〇兆
円も繰り上げ返済をうけた住公は、その金を財投に返して支払い利息の負担を
軽くしたいところだが、財投は繰り上げ返済を認めない制度になっているた
め、住公は借りた当時の高い金利を支払い続けなければならない。

こうした条件は他の特殊法人などでも同じで、くしくも、政府機関だけが
「巨額資金の長期連用ができる」との謳い文句のまやかしが証明されてしまっ
た。何のことはない、穴を開けても税金で補填してしまうことが前提の「トリ
ック」に過ぎないのだ。

住公に投入された税金は表面だけでもすでに七兆四三〇〇億円で、毎年一〇
兆円規模で膨らみ続ける財投への借金残高は、まもなく八〇兆円に達する。も
ちろん、財投から借り入れたお金の多くは、住宅ローンとして国民に貸し付け
ているので、これが、そのまま不良債権になるわけではないが、住公の仕組み
そのものが破綻していることから、借金の増大はさけられない。

今後、毎年五〇〇〇~六〇〇〇億円の税金を注ぎ込んだうえに、なおかつ、毎
年生ずる損失金が千数百億円出るだろう。私の予測ではさらに損失金がたま
り、住公が存在する限り、限りなく税による手当てが膨らむはずだ。

(続く)
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衆議院議員石井紘基著『日本が自滅する日「官僚経済体制」が国民のお金を食い尽くす!』(PHP2002年1月23日発行)

第四十七回目朗読 (2019.02.21)

第二章 経済むしばむ“官企業”―特殊法人と公益法人など (P112-186)

http://www.asyura2.com/09/senkyo68/msg/1067.html

第三節 経済の“ブラックバス”特殊法人の姿 (P131-159)

●子会社は儲かり、公団は大赤字 (P132-136)

「親」の日本道路公団本体は、先に示したように莫大な借金を抱えている。一
方で、「子」が潤う。公団は後に述べるような様々な関連事業を、事実上の天
下り会社である旧(財)道路施設協会に仕切らせている。その施設協会から公
団への年間納付額は、占用料としての六六億円(平成=年度)だけである。こ
れでさえ、私の国会での追及を受けて平成一〇年から値上げしたものだ。道路
公団が濡れ手に粟で儲かる事業をすべて回している「ファミリー企業」の実態
をみれば「官業は栄えて、国民が貧しさにあえぐ」という利権列島の実体が明
らかになる。

道路施設協会は、そもそも高速道路のサービスエリアやパーキングエリアの
「占用許可」を受けるために公団、旧建設省、政界筋が示し合わせて設立した
ものであった。昭和四〇年五月、旧建設省は一片の道路局長通達を以ってこの
巨大利権構想を実行した。

この通達によって道路施設協会は、レストランや売店、ガソリンスタンドな
どのテナント料を横取りして急成長を果たすとともに、一気に多数のファミ
リー企業を発足させ、不動産業、道路の改修メンテナンス、パトロール、料金
収受、道路交通情報などを独占的に事業展開する巨大企業にのし上がった。こ
れらの企業の間では随意契約や丸投げが常態化している。つまり、競争相手の
ない、しかも、ほとんど税金を払わない、財団法人の営利事業という、普通の
国には夢想だにできない利権システムができ上がったのである。

協会や子会社の「公団一家」が食っている不当利得は巨大だ。直接出資の子
会社六七社(平成九年度現在)の平成八年度の総収入は六八〇〇億円。また、
施設協会がサービスエリアなどで運営を委託しているレストランなどの店舗の
売上高は約三四〇〇億円であった。しかも、これら子会社の多くは、営利を目
的としてはならない公益法人なのだから、ますます許しがたい。

道路公団とそのファミリー法人は政治家や政党へ多額の献金をしており、“
政治家のサイフ”と呼ばれている。

私は国会で道路公団の数々の問題とともに旧(財)道路施設協会の不当性を
追及してきたが、平成九年二月二四日の衆議院予算委員会では当時の亀井静香
建設大臣に対し「道路施設協会は天下りによる営利事業団体であるから廃止せ
よ」と迫った。これに対して、亀井大臣は問題を認めて「見直す」と答え、道
路施設協会は廃止されることとなった。

しかし実際に旧建設省がやったのは、「(財)道路サービス機構」と
「(財) ハイウェイ交流センター」 の二つに分割することだった。「競争
原理を取り入れるため」というのがその理由だが、もともと公益法人とは「不
特定多数の利益のために……営利を目的としない」ものなのだ。そこに「競争
原理」とはデタラメ以外の何ものでもない。

この分割の結果、それまでは役員は一六人で、そのうち旧建設省・道路公団
からの天下りが一三人であったものが、役員は合わせて三〇人となり、旧建設
省・道路公団からの天下りは一五人に増やされた。これが官僚天国のやり方で
あり、日頃、多数の政治家に鼻薬を効かせてあるからこういうことが平気でで
きるのだ。

旧建設省は平成一一年度中に日本道路公団の天下り団体である、旧(財)道
路施設協会が設立した公団ファミリー企業六三社の持ち株を売却した。これ
は、平成六年から八年にかけて、私が、「公益法人や特殊法人の出資(子会社
設立)は、不適法だ」と主張した結果、平成八年九月に「公益法人の出資を止
めるべし」との閣議決定がなされたことによる措置である。

私は、このとき、「公団のファミリー企業は、廃止・清算して、出資割合に見
合う資産を回収し、そのうえで、公益法人も解散させ、売却益を国庫に繰り入
れるべきだ」と主張した。なぜなら、特殊法人・公益法人のファミリー企業群
は、とりも直さず国民の税金と公団の随意契約による事業発注によって肥り、
巨大な資産を蓄積したものだ。しかも、道路公団は、莫大な借金を抱え、国民
の負担になる。それを、単に簿価で株を売却し、出資額だけを回収するので
は、国民の資産を二重に詐取することになるからだ。

案の定、危供したことを旧建設省と旧(財)道路施設協会は、実行したので
ある。二〇~三〇年前に三五億円を出資して作った六三社の株を彼らは、平成
一〇~一一年に六四億六〇〇〇万円で売却した。売却先は、取引銀行を除いて
すべて同族のファミリー企業。しかも、同一の会社の株でも譲渡先ごとに株価
が異なった。デタラメである。通常でもこうしたケースの株売却は、純資産方
式で行われる。純資産方式で行えば、平均一八五倍となる。金額にして六四七
五億円である。

つまり、指導・監督責任を負う旧建設省は、少なくともファミリー企業のた
めに、六四〇〇億円以上の公的財産を勝手に放棄したことになる。ちなみに、
株を引き受けたファミリー企業の経営者は、大多数が公団OBや旧建設省からの
“渡り鳥”である。旧建設省や旧(財)道路施設協会にしてみれば、「民間企
業では株の引き受け手がない」という。それはそうだ。天下りファミリーであ
るからこそ公団は仕事を出す。筆頭株主が純然たる民間であれば、その瞬間
に、ほぼ間違いなく仕事はこなくなり、会社は立ち行かなくなる。不正は、取
り繕えば取り繕うほど深みにはまる。もう一度仕切り直しをして、あくまで廃
止・清算するしかない。

建設官僚の退職金について、私が追及して明らかになったものの中に、平成
九年当時、道路施設協会の理事長を務めていた宮繁護氏のケースがある。宮繁
氏は建設省局長から国土庁事務次官となり、道路公団副総裁、同総裁、道路施
設協会理事長となった人である。彼は次官退職時に五五一二万円、道路公団退
任時に三六九〇万円、道路施設協会退任時に三七六〇万円、現職の予定される
退職金も含めると計一億五〇〇〇万円以上の退職金を受けとり、その間に一〇
億円前後の報酬や給与を受けてきたことになる。

ちなみに、私の質問で明らかになったものに元日銀総裁の松下康雄氏があ
る。松下氏は旧大蔵省(事務次官)から五八五六万円、日銀から三四〇五万
円、これに旧大蔵省から“天下った”旧さくら銀行の分を合わせると、退職金
だけで二億四〇〇〇万円以上となる。また日銀の三重野康・元総裁は日銀だけ
で一億八二二一万円の退職金を手にした。

このように毎年少なくとも何百億円という気が遠くなるような退職金が高級
官僚や役人OBに支払われているのも、天下り先の行政企業が止めどなく広がり
膨らんだせいなのである。

(続く)
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衆議院議員石井紘基著『日本が自滅する日「官僚経済体制」が国民のお金を食い尽くす!』(PHP2002年1月23日発行)

第四十六回目朗読 (2019.02.19)

第二章 経済むしばむ“官企業”―特殊法人と公益法人など (P112-186)

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第三節 経済の“ブラックバス”特殊法人の姿 (P131-159)

●世界一のゼネコン ― 日本道路公団 (P131-132)

高速道路建設は一般道路建設とともに巨大利権を生む公共事業の一つとし
て、政官の権益に支配されてきた。高速道路の建設・管理を担うのが、旧建設
省、現国土交通省が所管する日本道路公団である。ほかに首都高速道路公団、
阪神高速道路公団、本四連絡橋公団があるが、これら四公団は財務状況、経営
実態、そして天下り構造まで、その規模の大小を別にすれば同類である。

日本道路公団はその資本、資産、売上げ等、どこから見ても民間土木企業大
手の一〇倍を超える超ゼネコンである。公団の新規高速道路建設は、主に民間
のゼネコンに発注されるから、その意味からも道路公団はゼネコンの上に君臨
する超ゼネコンである。

国の道路建設計画としては一万四〇〇〇キロメートルの「高規格道路」があ
るが、そのうち一万一五二〇キロメートルは日本道路公団による高速道路(予
定路線)である。そして、そのうち六六〇〇キロメートルはすでに完成し運用
されている道路で、九〇六四キロメートルまでは施工命令が出ている。

つまり、二四六四キロメートルを建設中というわけだ。ちなみにこの中に
は、首都高速や阪神高速、本四連絡橋、アクアライン、その他都道府県の道路
公社が建設する高速道路は含まれていない。

旧建設省は当初、高速道路は完成後三〇年で償還して公団から国に引き渡
し、料金も無料になると説明していた。しかし、その後、総延長距離をどんど
ん延ばし、通行料も再三値上げし、償還期間も平成七年六月に四〇年に延ば
し、平成二年四月には四五年に延ばした。道路審議会は高速道路の耐用年数を
五〇年と見ているから、これでは永久にタダになることはない。というよりも
実際には、このまま行けば料金はもっと上がり、通行量は減り、破綻してしま
うのである。

日本道路公団の事業規模は予算ベースで年間五兆五二六七億円である(平成
二年度)。

内訳をいえば、支出面では、建設費などに二兆二六〇億円を使うほか、借入
金(元本)返済のために二兆二六二〇億円、利子支払いのために一兆三七〇億
円の合計三兆二九九〇億円を元利返済に使っている。これに対して収入は、科
金収入が二兆二一四三億円しかないから、財投などから二兆九四八三億を新た
に借り入れ、政府から三六四一億円の資本金・補助金を受け入れて、辻褄を合
わせている。こんな財務状況なのに道路公団は道路を造り続けているのだ。

積もり積もった日本道路公団の借金残高は平成一三年度末で二七兆円に達
し、しかも毎年約九〇〇〇億円ずつ増え続けている。利息だけで毎日三〇億円
が排ガスのように消えている。

(続く) 

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