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DATE: CATEGORY:マスコミ


軽減税率をねだる読売社説の恥知らず
テーマ:政治

経営陣の魂胆が見え透いていたとはいえ、読売新聞の18日付社説を読んで、良識ある新聞人は、顔が赤らむ思いだったのではないだろうか。




消費税増税の必要性をあれだけはやし立てておきながら、自らのことになると下記のごとく「新聞は軽減税率にすべきだ」と主張してはばからない。




◇新聞は民主主義と活字文化を支える重要な基盤だ。消費税率引き上げでは、新聞に対する税率を低く抑える軽減税率を導入すべきである。(中略)
新聞は、全国で誰もが安く手に入れて活用できる特色があり、公共財的な社会インフラだ。コメなどの食料品と同じような必需品として、新聞の重要性を認める読者は少なくないのではないか。◇




毎月4000円近い料金を支払わねばならない新聞が公共財、社会インフラだというのは、さすがに業界トップクラスの給料を誇る新聞社だけのことはある。所得格差が広がるばかりのこの国で、低収入にあえぐ庶民の痛みなど、どこ吹く風だ。




大手新聞ほど、国家権力に庇護されている民間企業はない。国有地を安く払い下げてもらってそこに本社を建て、電波利権を与えられてテレビ局を開設し、なおかつ新聞だけは公取委に再販制度を黙認させて、新聞価格を高く維持している。




官庁まるがかえの記者クラブに入ってさえいれば、放っておいても記者会見がセットされ、役人が提供してくれた資料に少し手を加えただけで一本の原稿があっという間に出来上がる。記者クラブがなかったら、現有の記者数では新聞紙面の半分以上を白紙で出さねばならないだろう。




まさに利権の巣窟であるがゆえに、金繰りの苦労を知らないど素人が経営者になっても、会社を存続できているのだ。




そういえば、週一回出している筆者のメールマガジン2011年2月10日号で「消費増税をあおる新聞界の策謀」と題する記事を書いた。読売の今回の社説を予測したような内容なので、あらためて以下にその一部を転載しておきたい。




◇◇
大新聞と財務省の関係をうかがわせる人事があった。昨年(2010年)11月16日、丹呉泰健氏が読売新聞の社外監査役に就任するという小さな記事が各紙に掲載された。




丹呉氏といえば、2009年の政権交代直前に財務事務次官となり、2010年7月に退任したばかり。OB人脈を含めた財務・大蔵一家のなかでの影響力は大きい。




読売新聞がなぜ、丹呉氏を必要とするのか。読売グループのドン、渡邊恒雄の意思がはたらいているとみるのが自然だろう。この人事の背後に、「消費増税」への新聞界の思惑が透けて見える。




消費税が数%でもアップされると、ただでさえ人口減、インターネットの台頭、広告収入の大幅ダウンに見舞われている新聞業界はもたない。




そこで、渡邊氏ら新聞界のトップが考えているのが、英国のように食料品など生活必需品の税率をゼロ、もしくは軽減するよう世論を誘導し、その生活必需品のなかに、さりげなく新聞をもぐりこませるという算段だ。




それを可能にするために、財務省の増税路線を大いに支援して恩を売っておく必要がある。いざというときの橋渡し役として、丹呉氏はうってつけだと考えたに違いない。




新聞にとって、もうひとつの恐怖は、再販制度と特殊指定の特権を剥奪されることだ。現在のところは、再販制度によって高価格に維持できているからこそ、まがりなりにも新聞の経営はなりたっている。




ふつうの商品なら、価格を決めるのは小売であり、メーカーが価格を押しつけると独禁法違反になる。新聞は特殊指定によって、メーカーである新聞社が価格を決めることができる数少ない商品だ。




渡邊恒雄氏ら新聞業界トップには再販制度をめぐるこんな前歴がある。




2005年11月、公正取引委員会が、再販制度について新聞の特殊指定を見直す方針を打ち出した。実はそれよりはるか前の1998年にも公取委が「基本的に廃止」の方針を固めたことがあったが、新聞協会会長だった渡邊氏らの政界工作で、「当面見送り」にさせた経緯がある。




05年の見直し方針に対しても同じだった。新聞協会は猛反発し、各政党への働きかけによって政界の支持を得た新聞協会に公取委が屈して、方針を取り下げた。




記者クラブの独占的取材体制など新聞協会の既得権に手厳しい小沢一郎氏は、マスメディアにおもねる体質が色濃い政界にあって異彩を放っており、それが異常なバッシング報道を受ける大きな要因であることは確かだろう。




ちなみに、再販制度を所管する公正取引委員会の委員長、竹島一彦氏は大蔵省OBであり、読売新聞の社外監査役となった丹呉氏が、この方面でも一定の役割を果たすことになると推測される。




こうしてみると、強大な予算配分権の維持をめざす財務省は国家財政の危機を過大に喧伝して増税の必要性を唱え、現実に経営危機が迫りつつある新聞社とその系列のテレビ局を抱き込むことで、世論調査という擬似国民投票に右往左往する菅内閣が財務省の言いなりになる形をつくることに成功したといえる。
◇◇




18日の読売社説によると、日本新聞協会が青森市で開いた今年の新聞大会で、全国紙から「民主主義、文化の最低のライフラインを守るためには、軽減税率の導入が必要だ」との訴えがあったという。




もちろん読売だけの問題ではない。全国紙みな、そろいもそろって、恥知らずというほかない。「民主主義、文化の最低のライフライン」に全国紙がなっているかどうか、お得意の世論調査で調べてみてはどうか。




再販制度と特殊指定の特権など返上し、競争原理のもと、新聞をもっと買いやすい値段にすることこそ、「最低のライフライン」に近づく道ではないだろうか。



ライフライン、インフラ、民主主義、公共財…などと思いつく限り、我田引水の美辞麗句を並べ立て、国民をあざむいて、特権を守りたいという腹が透けて見える。




 新 恭  (ツイッターアカウント:aratakyo)



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