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DATE: CATEGORY:植草一秀の『知られざる真実』


被災地の復興を妨げる安倍政権の五輪推進




3月11日、各地で追悼式典が催された。


東京永田町の憲政記念館で開催された祈りの集いでは、岩手県大槌町で被災された千代川茂氏と元福島県知事の佐藤栄佐久氏が講演をした。


千代川茂氏は経営してきたホテルが津波の被害を受けたが、昨年8月に「三陸花ホテルはまぎく」として再建・開業した。


自らもホテルに押し寄せた津波に巻き込まれ、意識を失いつつも、命を取り留めた経験を有する。


親族は津波の犠牲になり、いまだに行方不明のままである。


大槌町には7メートルの防波堤が整備されていた。


地震発生直後、津波警報が発令されたが、その警報は、津波の高さが最大で6メートルと伝えていた。


津波が襲来しても防潮堤によって被害を免れる。


こう判断したのだという。


しかし、津波は防潮堤を乗りこえて襲来し、巨大な被害をもたらした。


3年前の地震・津波・原発事故で1万8000人を超える死者・行方不明者が出した。


震災関連死を含めれば2万人を超える。


そして、いまなお26万人もの人々が避難生活を余儀なく迫られている。


安倍首相は3月10日に所感を読み上げた。


「今や高台移転や災害公営住宅の建設は、その7割で事業をスタートさせています」


被災者を救済するための住宅建設が7割も進捗したかのような錯覚を与える。


ところが、現実はまるで違う。


現実に岩手、宮城、福島で建設された復興住宅は計画の3.3%にとどまっている。


大槌町の現状を見ると、


高台移転は245戸の計画に対して完成戸数は5戸、


災害公営住宅は980戸の計画に対して完成戸数は124戸である。


これが、被災地の現実なのである。

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安倍首相は3月10日の所感で、


「津波や原子力の被害から見事によみがえった土地を聖火ランナーが走る姿は日本のみならず、世界に勇気を与えることになるでしょう」


と述べたが、被災地の人々は空々しい言葉として受け止めたことだろう。


被災地を襲っている困難は、オリンピック招致決定でさらに加速している。


建設資材が急騰し、1500万円で建設する予定の住宅価格が2000万円に跳ね上がっている。


建設各社は業務執行体制を復興対応からオリンピック対応に全面的に切り替え始めている。


そのために、土木・建設関連では、深刻な人手不足の問題が生じている。

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佐藤栄佐久氏は知事時代から、原発の安全性に強い疑義を呈していた方である。


あの原発事故から3年の時間が経過するが、福島原発事故はいまなお継続している。


100トンの高濃度放射能汚染水の漏出が明らかになったが、原発内部での単純な工程ミスが原因であるとされている。


国民の7割が原発再稼働に反対しているにもかかわらず、一昨年12月に原発推進勢力が国会多数議席を確保したという、そのためだけで、原発再稼働が前のめりに推進されている。


ドイツでは原発をゼロにするとの国民の意思を受けて、原発ゼロの方向が定められた。


このドイツが、原発再稼働反対の国民が7割も存在するなかで、原発再稼働に突き進む日本の姿をおかしいと感じていることを佐藤氏が紹介した。

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テレビ報道が偏向して、主権者に正しい情報が届けられていないことが重大な問題であるが、その偏向テレビにおいてさえ、色合いの異なる主張が示され始めている。


安倍晋三氏が私物化するNHKの劣化は目を覆うばかりであるが、このなかで、3月11日のテレビ朝日「報道ステーション」の報道は出色であった。


NHKが震災復興しか報道しないなかで、テレビ朝日は原発問題に焦点を当てた。


福島県では若年者の甲状腺がんが大量に発生している。


一般には100万人に1~2人の発生確率とされている甲状腺がんの発生確率が、福島県では3万8000人に10人の発生確率を記録しているのである


単純比較すれば300倍の発生確率が観測されていることになる。


福島県立医大の山下俊一氏などは、対象者全員に検査を行っていることから発生確率が上がっているという、いわゆる「スクリーニング効果」を主張しているが、それだけで、この差を説明できるものなのか。


福島県では、チェルノブイリの事例をもとに、いま発見されている甲状腺がんが原発事故に由来するとは「考えにくい」としているが、この点についても強い疑念が示されている。


テレビ朝日報道では、チェルノブイリの場合、当初、甲状腺がんが早期に発生するとの認識が存在しなかったという。


事故発生後、4年が経過したころから、エコー検査機器が導入され、甲状腺がんが発見されるようになったのだという。


つまり、事故発生後、4年間の時間帯においては、甲状腺がんが発生していても、発見されなかった可能性が高いことが示された。


この点を踏まえれば、チェルノブイリで事故後4年間は甲状腺がんが確認されていないから、福島の甲状腺がんが原発事故に由来するとは「考えにくい」との主張は、その根拠を失うことになる。


震災・原発事故から3年の時間が経過して、安倍政権は、この事故を風化させることに懸命であるが、賢明な国民は、この事故を絶対に風化させてはならない。





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テーマ : 政治・経済・時事問題 - ジャンル : 政治・経済

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