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DATE: CATEGORY:植草一秀の『知られざる真実』



安倍政権は政府保有米国債売却を決断せよ




4月15日、米国財務省が発表した国際資本収支統計で、2月末の米国債保有高は、日本が1兆2244億ドル(約145兆7000億円)となり、リーマン・ショック直前の2008年8月以来、6年半ぶりにトップになったことが明らかになった。


メディアは、日本の米国債保有が世界一位に「返り咲いた」などと表現して、日本にとっての「吉報」であるかのように伝えているが、論評にも堪えない低質な情報である。


報道は、


「成長鈍化で国内への外貨流入が細り、人民元安の傾向が進む中、以前のような元売り・ドル買いの為替介入がなくなってきていることが要因」


などとするが、これも完全な事実誤認である。


たとえば、人民元円レートを見ると、2011年3月に1人民元=11.7円だったのが、2014年12月には1人民元=19.8円に、人民元が大幅上昇している。
為替





中国人にとってみれば、訪日して消費を行う際の購買力が、わずか4年足らずの間に2倍近くに跳ね上がっている。


この中国人観光客が「爆買い」と呼ばれる消費激増を実行して、消費税増税不況に苦しむ日本の消費業界を救済していることがよく知られている。


政府の外貨準備高で言えば、中国がダントツ一位の約4兆ドル。


日本は3分の1の1.3兆ドルである。


日本は外貨準備の大半を米国国債で保有している。


中国の外貨準備が約4兆ドルも存在するなかで、米国国債の保有は中国全体で1.2兆ドルにとどまっている。


中国は外貨準備の保有構成(ポートフォリオ)を多様化しているのである。

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日本政府が外貨準備で米国国債を保有している経緯は次の通りである。


2012年まで、円ドルレートは、円高・ドル安傾向で推移した。この過程で、日本政府は円高の進行を食い止めるという名目の下で、


ドル買い・円売りの為替介入を続けてきた。


日本政府が日銀からお金を借りて、米ドルを買うのである。


具体的な保有は米国国債である。


政府が日銀からお金を借りて米国国債を購入する。


これが、政府による外為市場でのドル買い=円売り介入である。


2007年6月の時点で日本政府は外貨準備を9136億ドル保有していた。


当時の為替レート1ドル=124円で換算して、113兆円のドル資産を保有していた。


20002014122414


この2007年6月から2012年1月までの4年半の間に、日本政府はさらに米ドル資産を3931億ドル買い増しした。


政府が米ドル資産を追加購入した際の為替レートは、平均すると1ドル=100円程度だった。


つまり、日本政府は約39兆円のお金を注ぎ込んで、3931億ドルの米ドル資産=米国国債を追加購入したのである。

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2007年6月時点で日本政府が保有していた米ドル資産=外貨準備高が9136億ドル=113兆円で、ここに39兆円の資金を注ぎ込んで、日本政府の外貨準備高は1兆3067億ドルに膨らんだ。


円資金では113兆円に39兆円を追加投入したから、152兆円の元手がかかっている。


ところが、2012年1月には、大幅に円高・ドル安が進行していた。


1ドル=75円にまで円高・ドル安が進行したのである。


その結果、1兆3067億ドルに達した、日本政府が保有する米ドル資産の円換算金額が、なんと98兆円に目減りしたのである。


152兆円の元手で購入した米ドル資産の時価評価額が、なんと、たったの98兆円に減少してしまったのだ。


日本政府の米国国債投機で、4年半で53兆円の巨大損失を計上したのである。


このような投機損失など前代未聞である。


民間の投資顧問会社であれば、1000億円の損失を出しただけで大騒ぎである。


それに対して、日本政府の投資損失は、わずか4年半で53兆円。


1000億円の投資損失の、なんと530倍の超巨大損失が生まれたのである。

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米国では政府による外国為替介入に対して、厳しい制約と監視がある。


「儲かる介入は良い介入、損する介入は悪い介入」


として、政府の外為介入での損失を議会が許さない。


為替レートが行き過ぎた上昇、下落を示したときに外為介入は行われる。


ドル高が行き過ぎたときにドルを売って日本円を買う。


ドル高の行き過ぎが是正されればドルは下がり、円は上昇する。


この局面で、介入して購入した円を売れば、為替利益を獲得できる。


これが「良い為替介入」である。


日本政府が、値下がりするドルを買い続けて、巨大な為替損失を生み出すことなど、まさに言語道断。


厳罰に処されなければならない、国民に対する背任行為なのだ。


しかし、日本では、53兆円もの外為損失を計上したにもかかわらず、ただの一人も責任を問われていない。


その一方で、米国国債保有が世界一などと持ち上げる、馬鹿馬鹿しい報道が展開されているのである。





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