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①「戦後レジーム脱却」の欺瞞

首相訪米巡る記者座談会

対米従属深化さす売国政治    

2015年5月8日付 長周新聞

http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/sengorejiumudaltukyakunogiman.html

安倍首相が訪米して日米首脳会談が開かれ、TPP(環太平洋経済連携協定)推
進や集団的自衛権の行使などアメリカが突きつけてきた要求をみな丸 呑みして
約束を交わし、晩餐会でもてなされたり米上下両院合同会議で演説する機会を与
えられたりと、異例の大歓迎を受けて帰ってきた。今回の首相訪米をど う見る
か、記者座談会をもって論議した。
 
異例の大歓迎をしたアメリカ

A まず訪米で何をやったのかだ。異例の大歓迎を受けて帰ってきた。米上下両
院合同会議で演説したのは日本の総理大臣として はじめて。晩餐会も異例の扱
いだった。昨年のオバマ訪日やこれまでの首脳会談の際には、オバマからたいし
て相手にされていないといわれ、会談をな かなか もってもらえないとか、握手
も共同声明の発表もせずに終わったとかが取り沙汰され、「オバマに嫌われてい
る」といって革新勢力が喜んでいた。それ がどうし て歓迎されたのかだ。

B 今回の訪米で約束してきたのはTPPと集団的自衛権行使の二点が大きい。
安保法制の具体的な内容については、直前の外 務・防衛担当閣僚会合(2プラ
ス2)でほぼ固めていた。事前に詰めたうえで、その追認で安倍がアメリカに
渡った。議会演説や首脳会談などでアメリ カが大喜 びでもてなしたのは、その
「成果」があったからだ。

C 2プラス2では日米防衛協力指針(ガイドライン)の改定に合意した。昨年
に安倍政府が集団的自衛権の行使容認を閣議決定 したのを受けたもので、米軍
の指揮下で自衛隊を戦地に駆り出すことを最大の眼目にしている。「周辺事態」
などの文言をとり除いて、日本が直接攻撃 を受けて いなくても米軍と共同作戦
に乗り出すことや、その活動範囲は極東にとどまらず地球規模に広げるというも
のだ。中東海域における機雷掃海や米軍を 狙った弾道 ミサイルの迎撃、米艦の
保護、不審船の臨検、弾薬の提供、戦闘機への給油なども具体的に想定されてい
る。米軍だけでなく、直接日本の安全とは関係 のない事 案であっても、多国籍
軍への後方支援を可能にするとしている。2プラス2では他に、日米双方が米軍
普天間基地について「辺野古への移設が唯一の解決策」と 確認した。

D その後もオバマがツイッターで「歴史的会談だった」などとべた褒めで、も
てなされた安倍がはしゃいでいるだけでなく、ア メリカ側も嬉嬉としている。
ついに地球の裏側まで日本を動員できるところへきたし、衰退著しいアメリカに
とってこれほどの救いの手はないといわん ばかりの ものだ。ただ、日米合意と
いっても勝手に合意しただけで、国内法は今から変えていく段階だ。

A この約束でいったならば、例えば機雷掃海にしても、陸上部隊が戦闘行動に
参加するとなった場合においても、一発撃ち込んだら引けなくなる。 向こうも
当然撃ち返してくる。撃ち返されたらまたこちらも撃つ。そして泥沼の戦争にの
めり込んでいく。年寄りが「気付いたときには戦争だった…」という が、今は気
付く少し前のような感じだ。ホルムズ海峡でも、イランからすると防衛のために
せっかく機雷を設置しているのに、とり払われれば敵対行動だと向こう は見
る。 そうなると武力衝突になる。いわんや人質救出などといって戦闘を仕掛け
た日には抜き差しならない緊張関係になる。というより、人質奪還などできる
はずがな い。「イスラム国」対応ですったもんだしたが、あんな砂漠のなかで
どこに何があるかもわからないのに、自衛隊がのこのこ出かけて救出などできる
わ けがな い。アメリカすらできないのが実態だ。

C アメリカの身代わりの戦争をやる。だからアメリカが大喜びしている。今か
ら肉弾になるのだから、晩餐会でも議会演説でも安い話だ。本音では 「このバ
カが」と思って見ている。ところが得意になってへたくそな英語スピーチをやる
のが安倍晋三で、米議会もスタンディングオベーションして調子付かせ た。完
全 にバカにされている。

自衛隊戦地へ駆出す 米軍の身代りで肉弾に

A 何が「邦人の生命・安全を守る」かだ。その気はまるでない。この欺瞞を徹
底的に暴露しないといけない。「イスラム国」の 人質事件でも、政府は2人を
守るための行動は何もしなかった。情報は早くから上がっているのに、人質当事
者の妻に丸投げして知らん顔を貫いた。知 らん顔ど ころか中東に行って安倍が
「反テロ戦争を支援する」などと発言したものだから、「イスラム国」を刺激し
て殺害された。邦人の生命を守る気などさら さらな い。人質だけでなく、あの
近辺に邦人がうかつに出かけていたら狙われるし、殺されかねない。もっと発展
していけば日本が標的になってテロすら起き かねな い。あのようなことを平然
とやっていく。何が「邦人の生命を守る意志がある」かだ。原発でも同じだ。国
内政治もすべてそうなっている。いったい誰 を守ろう としているのかだ。

E 集団的自衛権の行使はアメリカの要求で、自衛隊と米軍との一体化はアーミ
テージ・レポート(対日政策要求)などでくり返し突きつけられてき た。アメ
リカの肉弾になることと同時に、日本の大企業、独占資本集団の権益を守るため
に武力動員をはかっている。
B 首相や閣僚が勝手に海外に出向いて勝手に約束してくる。日本が法治国家で
ないことを暴露した。国会論議もせずに「夏まで に必ず実現する」などと約束
して帰ってくる。しかも憲法に関わる内容だ。主権在民ではない。日本の主権を
アメリカと独占資本集団が握っている。そ して国民 の生命財産などどうでもよ
いという姿勢を暴露している。

D 軍事面だけでなくTPPも事前に閣僚会合で協議している。アメリカはコメ
を21・5万㌧無関税で輸入せよと要求してき た。それに応えたのが日本政府
だった。中国のAIIBと対抗するルールづくりをやるのだと公言している。ア
メリカの議会に対して、TPA(大統領 の貿易促 進権限)の可決を急げと安倍
の側から促している。アメリカの利益を代弁している。「コメなどの重要品目に
ついては一切関税を撤廃しない」といって いたが、 国会決議すら反古にして約
束してきた。安保法制もだが、国会とか国民合意などどうでもよく、ひたすらア
メリカに隷属していく関係を示している。

A 安倍晋三は「戦後レジームからの脱却」を標榜してきたが、これも欺瞞だ。
やっていることは戦前回帰などではなく日米同盟 の深化。戦後レジームの中心
は対米従属であって、これのどこから脱却しているのか。よりひどい隷属関係を
作ろうとしている。「脱却」するのは、戦 争に参加 しないと定めた戦後の国是
で、今度は直接武力参戦する方向に進もうとしている。この連中が「自主憲法」
というのもインチキ極まりない。憲法はアメ リカ占領 軍に押しつけられたが、
それで「自主憲法」を標榜しながら、今度もアメリカの要求で変えようとしてい
る。国会すら通さずにやろうとする。このどこ が自主憲 法なのかだ。

E 訪米では、先の大戦について「痛切な反省」を口にした。あれはアメリカに
対して反省を表明しただけだった。対米戦争につ いては深く反省する。しかし
中国やアジアに対する反省は口にしないからアジア各国が怒っている。「侵略は
しますよ」という話だ。第2次大戦で日本 人民はア メリカにひどい目にあっ
た。本来なら原爆投下にせよ沖縄戦の殺戮にせよ、残忍な全国空襲にせよアメリ
カに謝罪させないといけない。そして、みずか らが侵略 したことは反省しない
といけない。それが人民の当たり前の感覚だ。ところが転倒して、アジアには開
き直ってアメリカには反省する。歴史評価が転倒してい る。

アメリカは戦後、日本を支配していく上で、日本軍がいかに残虐でアメリカが
やったことは正義だったかを強調してきたが、安倍が演説で出した具体 例が真
珠 湾、バターンなど対米戦争ばかりで、その一連をあげつらって「すみません
でした」とやった。一方で、アジアに対する侵略戦争についてはのべなかっ た。

A 第2次大戦では日本帝国主義の中国やアジアへの侵略に対して抗日戦争、民
族解放戦争があった。さらに新興の日本帝国主義 と米英仏蘭との帝国主義争奪
がある。これは性質が異なる。あと、社会主義ソ連との戦争もあった。アメリカ
との戦争はいけなかったが、アジアへの侵 略は反省 してたまるかというもの
だ。今から地球の裏側まで出動するというのだから、軍隊を派遣したら立派な侵
略だ。それはやりますよという話だ。

C 世界的に見たときに、日米同盟が孤立している。AIIB(アジアインフラ
投資銀行)の顛末がまさにそうだった。首脳会談 後の記者会見ではオバマが安
倍晋三そっちのけでボルティモアの黒人暴動について演説していたが、アメリカ
は内政もガタガタで世界覇権どころではな い。だか らこその集団的自衛権行使
だ。日本人を鉄砲玉にしてアメリカの利害を守るのが死活問題になっている。

A 韓国や中国でも戦後、アメリカを友と見なす流れが濃厚にあった。特に韓国
はアメリカが日本の侵略から解放してくれたとい うのが基調にあって、正面の
敵であるアメリカに向かわない特徴があった。中国もその気がある。はじめは、
断固としてアメリカ帝国主義と対峙してい たが、す ぐに取り込まれた。とくに
修正主義に犯されてからはアメリカとの同盟に走り、70年代の裏切りで反ソ親
米に流れた。以後、アメリカとは争奪関係に ありなが らも真っ向対立はしたが
らない。だからベトナム革命になると支援しなかったし、鄧小平は「恩を仇で返
す」といってベトナムを侵略した。結局、対米 従属容 認、「安保」容認とな
り、70年代に入ったら「安保」を認め、自衛隊を認めろと日本の革新勢力にも
要求してきた。

国内は民主主義破壊 国民動員する力はなく

A アメリカと海外派兵や武力参戦を約束することは国内の民主主義破壊とつな
がっている。日本の国会なり国民の承認を得ずに 勝手に約束してきたことがよ
くあらわしている。そのようにして国内における民主主義を蹂躙していく。アメ
リカに従っているあらわれだ。民主主義の 破壊はい まや蔓延しているが、戦争
準備とセットで動いている。聞く耳なしの政治で支持率17%の安倍政府が突っ
走る。東日本大震災以後の原発再稼働や TPPなどす べてがそうだ。沖縄の辺
野古移転についても一切聞く耳を持たずにアメリカの意向を貫いていく。今度の
安保法制化も「必ず夏までにやりきる」と約束 した。ア メリカが要求している
のだからやっていくのが当たり前くらいの感覚で、誰が見てもアメリカの代理人
だ。傀儡政府としての姿がくっきりと浮き彫りに なっている。

B 民主主義破壊の戦争政治が進むのと同時に、TPPによる国内略奪、金融面
での略奪が段階を画そうとしている。経済の徹底 的な破壊、労働者の徹底した
搾取など一連セットにしてやっていこうとしている。「私がドリルになって岩盤
規制を破壊していくのだ」と何度も欧米に 行っては 宣言してくる。自民党は
「TPP断固反対」を叫んで総選挙をやった。「ブレない自民党」といっていた
がブレまくっている。

D 安倍政治の特徴として、嘘とか欺瞞とかが息を吐くように平然と口から出て
くる。「福島は完全にコントロールされている」 が代表的だが、明らかに嘘だ
とわかる嘘を口にする。いったことと反対のことを行動でやる。相手がどう思う
かなど考えないで突っ走る。アメリカがど う見なす かは随分注意深く見ている
が、その他の国国がどう思うだろうかという感覚がない。集団的自衛権について
は夏までに法制化するというから、今からが 攻防戦に なる。野党勢力はあてに
ならない。やはり大衆的世論を喚起していかなければならない。

A しかし、いくらアメリカと約束したところで大衆の同意を得ないことには戦
争しようにもやりようがない。戦争するとなる と、しっかりとした協力体制を
つくらなければできるものではない。独裁はいいが、自分だけが独裁者気分でみ
なはいうことを聞かない、というのでは 話になら ない。ヒットラーでも国民を
動員した。戦前の天皇制軍国主義でもそうだ。いったい安倍晋三の後に誰がつい
ていくのかだ。大衆を同意させることに無 力なら先 はない。

C 自衛隊も実際に戦地に放り込まれるとなると、どうして自分は死ななければ
ならないのか突き詰めて考えると思う。石破なん かが自衛隊内に軍法会議を設
置するとかいって懲罰で囲い込もうとしているが、思想動員はできない。戦闘意
欲とも関わる大義名分が何もないからだ。 イラクと かシリアに命をかけて行っ
てこいといわれたら、どうして? と考えるのが普通だ。

E 原発についてもアメリカが要求しているから再稼働をやろうとしている。福
島事故が起きながら、無謀な道に突っ込んでい く。54基も日本列島につくら
せてきたが、そもそもがウラン燃料のはけ口として日本を利用したいアメリカの
要求だった。それに中曽根が乗って進め ていっ た。最近では箱根も噴火するか
どうかで大騒ぎをしている。西表の海底火山の噴火もすごいことになっている。
御嶽山も噴火して、北海道知床では15 ㍍も海岸 が隆起したり、鹿児島でも霧
島や桜島が噴火をくり返している。エベレスト周辺でもプレートが動いて地震が
起き、チリでも大噴火が起きている。地球 が動いて いる。そんな最中に再稼働
するのだから自殺行為だ。邦人の生命など何も考えていないことを暴露している。

A アメリカのためには国民の生命や安全など民族的利益をみな投げ捨ててい
く。この欺瞞を引っぺがして斗争を挑んでいくことが重要だ。






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