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英大手紙「ガーディアン」 「エコノミスト」が“安倍の圧力でTV司会者降板”と
報道!「日本の国際的評価を打ち砕いた」 小杉みすず

2016.02.24 Litera

http://lite-ra.com/2016/02/post-2004.html

古舘プロジェクトHPより

「萎縮はしないんですよ、毎晩の報道を観ていただければわかるように。それは
ですね、むしろ言論機関に対して失礼だ」と、2月、安倍 政権下での“メディア
の萎縮”を否定した安倍首相。さらにはこうも述べた。

「外国から誤解される恐れがある。まるでそんな国だと思われるわけであります
から」(4日、衆院予算委での答弁)

「誤解」ではない。事実である。安倍首相は昨年3月16日の国会でも、衆院選前
報道をめぐる民放テレビ局への“クレーム”を追及さ れ「国民に放送されている
場で圧力をかけることはあり得ない」と嘯いたが、これも大嘘だ。

そして、いまや世界も、日本が「そんな国」であることを看破しつつある。最
近、イギリスの複数新聞が、立て続けに“安倍政権の圧 力により3人のテレビ司
会者が番組を去ることになった”と報じたのだ。

まずは英大手一般紙「ガーディアン」。2月17日付で、「政治的圧力のなか日本
のTVアンカーたちが降板する」 (Japanese TV anchors lose their jobs amid
claims of political pressure)というタイトルの記事を公開、ウェブ版で全世
界に配信した。

その内容は、日本で〈タフに疑義を呈することで定評のある〉報道番組の司会者
3人が、同時期に番組を降りることになったと伝える もの。ご存知のとおりその
3人とは、テレビ朝日『報道ステーション』の古舘伊知郎氏、TBS『NEWS23』の岸
井成格氏、そしてNHK『クローズアップ 現代』の国谷裕子氏のことだ。

「ガーディアン」は3氏の名前と番組名を具体的に挙げて降板に至る経緯を説明
しながら、先日の高市早苗総務相による「電波停止発 言」を問題視。そして、
数々の例をあげて〈安倍が放送局の編集の独立権の議論を紛糾させるのは、これ
が初めてではない〉と強調する。

〈2005年、安倍は、NHKスタッフに戦時中の従軍慰安婦についてのドキュメンタ
リー番組の内容を変更させたことを、自身で認めている〉

〈安倍が2014年暮れに突如、総選挙をぶちあげたとき、自民党は東京のテレビ
キー局に対して、報道の「公平中立ならびに公正の確保」を求める 文書を送り
つけた〉

〈また、安倍は公共放送NHKの会長に、オトモダチの保守主義者である籾井勝人
を据え、編集方針に影響を及ぼそうとしているとして非難されてい る〉

〈報道関係者を懲役5年以下の刑に処すことを可能にした2013年の特定秘密保護
法の成立と同様、メディアへの脅迫の企ても日本の国際的評価を打 ち砕いた〉

他にも、記事では国境なき記者団による世界報道自由ランキングで、 05年に12
位だった日本が15年には61位まで低下したこと、昨年11月に国連の表現の自由に
関する特別調査官デイビッド・ケイ氏 の訪日調査を政府が キャンセルしたこと
なども触れられているが、こうした事態が英国と比較して異常だと受け止められ
ていることは明らかだ。「ガーディア ン」はこの記事の冒頭 で“もしもBBCの著
名なジャーナリスト3人が同時にキャスターをやめたら、英国の政治家の多くは
大喜びするだろう”と皮肉を込めて書いている。

さらに、英経済紙「エコノミスト」も2月20日付で古舘氏、岸井氏、国谷氏の番
組降板問題を大きく取り上げた。タイトルは「日本 におけるメディア の自由 
アンカーたちがいなくなった」(Media freedom in Japan Anchors away)で、
こちらは一層安倍政権に批判的なトーンである。

記事では、冒頭から“日本の標準から見れば力強く政権批判を行う司会者である3
名がそれぞれ同時に番組を去るのは、偶然の一致ではない”と断言。 3氏降板の
背景を深く掘り下げて報じている。

たとえば、岸井氏については、放送のなかで自衛隊の海外での役割を拡張する安
保法案の違憲性に疑問を付したが、それは〈ほとんどの憲法学者も指摘 してい
たことと同じものであって、高級官僚たちも、日本には危険な近隣諸国があり、
より安全保障を強化しなければならないと いう見地から安保法案を正当化して
いるようなときにあってさえも、官僚たち自身も私的には法案が憲法に違反する
ものであることを認め ている〉と指摘。

しかし、岸井氏の番組内発言は、本サイトで何度も追及している「放送法遵守を
求める視聴者の会」なる安倍応援団の槍玉にあげられてしまうのだが、 これに
ついても〈保守派団体がテレビ放送を許諾された者の公平中立性に反するものだ
と、彼を非難する意見広告を新聞に載せるという行 動を招いた〉と、はっ きり
と報じている。そのうえで「エコノミスト」は、〈TBSはその意見広告の影響を
否定しているが、それを信じる者はほとんどいない〉と断 じているのだ。

また、国谷氏に関しては、“NHKはなぜ彼女を降板させるのか口にしないが、『ク
ロ現』内での菅義偉官房長官へのインタビューに原因があったと同 僚たちは
言っている”と伝え、政治家と日本のメディア 両者の態度を説明。英米のジャー
ナリズムと比較して、このように批判する。

〈菅氏は、ジャーナリストの質問に対して事前通告を要求し、報道組織を厳しく
監督することで知られる。だが、インタビューの中で国 谷氏は、無謀にも 新た
な安保法が日本を他国の戦争に巻き込む可能性があるのではないかと質問した。
イギリスやアメリカのテレビの、政治家との口角泡を 飛ばすような激しい議 論
の基準からすれば、国谷氏と菅氏のやりとりは退屈なものだった。しかし、日本
のテレビジャーナリストというのは、政治家に対して めったにハードな疑問を
ぶつけたりはしないものなのだ。菅氏の身内たちは彼女のこうした質問に激怒した〉

ここからもわかるとおり「エコノミスト」は、単に安倍政権による報道圧力だけ
でなく、その温床となっているテレビ局の体制もまた 問題視している。記事で
は、大メディアの幹部たちがたびたび安倍首相と会食をしていることに触れ、マ
スコミのあり方にもこう苦言を呈すのだ。

〈報道機関に対する政治的圧力は今に始まったことではない。五つの主要なメ
ディア(日本の五大新聞は主要な民放と提携している) は、各社の社風や商 業
的方針から体制側の見解を垂れ流す傾向にあるので、それを精査したり敵対的に
報道することはめったにない。彼らの政府との親密ぶり は度を超えている〉

本サイトも常々指摘していることだが、まず安倍政権は会食などでメディア関係
者を懐柔しながら“忖度”の下地をつくりあげる。そ して、それでも健 全な批判
的報道を行う番組や司会者に対しては、表立った抗議という名の恫喝、あるいは
応援団を動員して圧力をかけ、局幹部に彼らを降 板させるよう仕向ける のである。

こうした構造的な日本のマスコミと政府の報道圧力をめぐる現状は、海外の
ジャーナリズムのフィルターから見ると、あらためて奇妙 で異形なものに感 じ
られる。前述の「ガーディアン」「エコノミスト」だけでなく、他にも英紙では
「インディペンデント」が20日付で、同じく古舘氏ら の降板問題を批判的に 取
り上げているが、おそらく英字で発信されたこれらのニュースは、アメリカやフ
ランス、ドイツなど他の欧米メディアにも波及し、世界 中に轟き渡るだろう。

本稿でとりあげた「エコノミスト」の記事の最後の一文は、このように締めくく
られている。

〈政府はメディアと一歩も引かない度胸試し(チキンゲーム)をしている、と古
舘氏は言う、そして、政府が勝利した〉

国内マスコミを御すことはできても、海外メディアの目まではごまかせない、と
いうことだ。安倍首相はこれでも、「報道圧力はな い」「メディアは自粛して
いない」と言い張るのだろうか。
(小杉みすず)





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