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最高裁が原発再稼働裁判官を送り込み

裁判所は原発ムラの代理人だ! 高浜原発再稼働のために最高裁が“選り抜き裁判
官”を福井地裁に送り込んでいた 伊勢崎馨,

2016.03.15  Litera

http://lite-ra.com/2016/03/post-2066.html

福島第一原発事故から5年。事故当時の東京電力の幹部、勝俣恒久会長、武藤栄
副社長、武黒一郎副社長の3人の刑事責任がようやく問われることに なった。

といっても、検察が起訴したわけではない。検察はこの3人について2度に渡り
不起訴処分という信じがたい決定を下したが、それに対し検察審査会 が2度とも
「起訴すべき」との議決をした結果、強制起訴になったのだ。

今後は裁判で審理されるが、彼らが刑事罰を受けることになるかというと、残
念ながらその確率は低いだろう。本サイトでも何度も指摘したように、 政府と
原子力ムラと裁判所の間には明らかな“癒着”があるからだ。

それは、この間の高浜原発に関する裁判所の対応を見れば明らかだ。高浜原発
については、3月1日、大津地裁(山本善彦裁判長)が3、4号機の運 転差し止め
の仮処分を命じる決定を下した。3号機は今年1月29日から、そして4号機は2月26
日から再稼働していたが、運転中の原発が裁判所命 令で停止したのは史上初め
てのことだ。

だが、高浜原発に関しては、これまで裁判所によって再稼働差し止めと容認が
繰り返されてきた。まず、昨年4月14日に福井地裁が高浜原発再稼働 差し止めの
仮処分を決定した。この際、樋口英明裁判長(当時)は想定を超える地震が各地
で起こっていることを挙げて、原子力規制委員会の新基準が 「合理性を欠く」
と政府の原発政策の根本に異を唱えている。

ところが、その画期的な判決を下した樋口裁判長は、その後名古屋家裁に“左
遷”されてしまう。これは懲罰人事であり、今後原発訴訟に関わらせな いための
追放人事でもあることは明白だった。

そして、樋口裁判長の後任として福井地裁に赴任してきたのが林潤裁判長だっ
た。林裁判長は昨年12月24日に高浜原発3、4号機の再稼働差し止 めを覆し、事
実上、再稼働を決定。さらに、林裁判長は大飯原発についても周辺住民らが求め
ていた再稼働差し止めの仮処分の申し立てを却下する決定 をした。

この林裁判長の人事について、今週発売の「週刊現代」(講談社)3月26日・4月
2日合併号が露骨すぎる政治的背景を暴露している。

問題は林裁判長の経歴だ。1997年に任官した林裁判長は最初の赴任地が東京地裁
で、2年後に最高裁判所事務総局民事局に異動。その後も宮崎地裁 勤務以外、東
京・大阪・福岡と都市圏の高裁と地裁の裁判官を歴任している。

「現代」では明治大学政治経済学部の西川伸一教授がその経歴についてこんなコ
メントをしている。

「任官して初の赴任地が東京地裁という点で、人事権を握っている事務総局か
ら、目をかけてもらっていることが窺えます。その上、初任明けと呼ばれ る2ヶ
所目の赴任地が事務総局。これは、林裁判官の同期108人の中でも6名しかいませ
ん。実際、任官から18年で部総括判事の役職に就くのもか なり早い出世です」

この最高裁事務総局というのは、裁判所の管理、運営、人事を仕切る部署で、
将来は最高裁判官を狙えるようなエリートが集まるところだという。林 裁判長
は人事権を握る事務総局から目をかけられ、将来を約束された最高裁長官さえ狙
えるようなエリートだったのだ。

いや、林裁判長だけではない。昨年12月、林裁判長と一緒に高浜原発再稼働を
認めた左右陪席の2人の裁判官、中村修輔裁判官と山口敦士裁判官も また最高裁
判所事務局での勤務経験があるエリート裁判官だった。

中村裁判官は一度も遠隔地赴任がなく、東京、横浜、大阪で過ごし、事務総務
局総務局付で国会対策などを担当したエリート。

また山口裁判官も大阪高裁や出向で外務省の花形ポジションである国連日本代
表部2等書記官の肩書きを持っていたという。

そんなエリート裁判官たちが高浜原発のある福井に赴任し、原発政策に関わる
決定に関与した。これは異例のことだ。「現代」では元裁判官の弁護士 がこう
コメントしている。

「本来、福井地裁は名古屋高裁内でも比較的ヒマな裁判所で、アブラの乗った裁
判官が来るところではない。しかも、この3人は東京や大阪など、他の 高裁管内
からの異動で、この人事には、各裁判所の人事権を握る最高裁の意向が反映され
ていると見るべきです」

ようするに、政府や電力会社に都合が悪い決定を下した裁判官を左遷し、代わ
りに最高裁がお墨付き与えたエリート裁判官たちを原発再稼働容認のた めに送
り込んだのだ。

こうした最高裁による露骨な原発推進人事という“意思”の背景にはもちろん、
政府の意向がある。前出の元裁判官の現役弁護士はこう語っている。

「いくら独立が保障されているとはいえ、裁判所も上層部へ行けばいくほど政権
との接触は増えるため、考え方が政権の意向に沿ったものになる。彼ら 3名を含
め、事務総局に勤務経験のある裁判官は、そうした阿吽の呼吸を最もよく心得た
人々なのです」

いや、政府だけではない。本サイトでも以前、指摘したように、裁判所は電力
会社や原子力産業とも直接癒着している。これまで数多くの電力会社と 住民と
の訴訟において、電力会社に有利な決定を下した裁判官や司法関係者が原発企業
に天下りするなど、原発利権にどっぷりと浸かっているのだ。

こうして見れば、原発事故当時の東電幹部たちが公正な裁きを受けることな
ど、到底期待できないことが分かるだろう。同時に現在“かろうじて”停 止して
いる高浜原発に対しても、3月14日、関西電力は仮処分に対し異議と執行停止を
求めて大津地裁に申立てた。これで三たび、高浜原発再稼働に 関する審議が行
われることになるが、予断は許さない状況だ。またぞろ政権の“意向”を受けた裁
判所人事が行われ、もしかしたら今回の停止決定を下 した山本裁判長が“左遷”
されたり審議から外され、別のエリート裁判官が送り込まれる可能性もある。

国民の生命の安全を無視して原発再稼働政策を押し進める安倍政権と、それを
後押しする法務省、裁判所に対して、より一層の監視とチェックが必要 だ。
(伊勢崎馨)

【関連情報】

▼林潤福井地裁部総括判事・福井家裁部総括判事・福井簡裁判事

異動履歴

H.27. 4. 1 ~       福井地家裁部総括判事・福井簡裁判事
H.24. 4. 1 ~ H.27. 3.31 福岡地家裁判事・福岡簡裁判事
H.21. 4. 1 ~ H.24. 3.31 大阪地裁判事・大阪簡裁判事
H.19. 4.10 ~ H.21. 3.31 福岡高裁宮崎支部判事・宮崎簡裁判事
H.17. 4. 1 ~ H.19. 4. 9 宮崎地家裁判事補・宮崎簡裁判事
H.14. 7.15 ~ H.17. 3.31 大阪地家裁判事補・大阪簡裁判事
H.14. 4.11 ~ H.14. 7.14 東京地裁判事補・東京簡裁判事
H.13. 8. 1 ~ H.14. 4.10 東京簡裁判事・東京地裁判事補
H.11. 4. 1 ~ H.13. 7.31 最高裁民事局付(東京地裁判事補)
H. 9. 4.10 ~ H.11. 3.31 東京地裁判事補
(第49期)

▼歴代最高裁事務総局事務総長

 氏名   在任期間      前職         後職

本間喜一 1947年- 1950年 東亜同文院大学学長 退官、愛知大学学長
五鬼上堅磐 1950年- 1958年 最高裁判所事務次長 名古屋高等裁判所長官
横田正俊 1958年- 1960年 公正取引委員会委員長 東京高等裁判所長官
石田和外 1960年- 1962年 東京地方裁判所長 東京高等裁判所長官
下村三郎 1962年- 1963年 東京高等裁判所判事部総括 仙台高等裁 判所長官
(岸上康夫) 1963年- 1963年 (最高裁判所務総局事務次長による事務代理)
関根小郷 1963年- 1965年 横浜地方裁判所長 福岡高等裁判所長官
(岸盛一) 1965年- 1965年 (最高裁判所事務総局事務次長による事務代理)
岸盛一 1965年- 1970年 最高裁判所事務総局事務次長 東京高等 裁判所長官
吉田豊 1970年- 1973年 最高裁判所事務総局事務次長 大阪高等 裁判所長官
安村和雄 1973年- 1974年 東京地方裁判所長 東京高等裁判所長官
寺田治郎 1974年- 1977年 東京高等裁判所判事部総括 名古屋高等 裁判
所長官
牧圭次 1977年- 1980年 東京高等裁判所判事部総括 福岡高等裁 判所長官
矢口洪一 1980年- 1982年 東京家庭裁判所長 東京高等裁判所長官
勝見嘉美 1982年- 1986年 千葉地方裁判所長 名古屋高等裁判
所長官
草場良八 1986年- 1988年 東京高等裁判所判事部総括 東京高等裁判所長官
大西勝也 1988年- 1989年 東京高等裁判所判事部総括 東京高等裁 判所長官
川崎義徳 1989年- 1992年 千葉地方裁判所長 大阪高等裁判所長官
千種秀夫 1992年- 1993年 東京高等裁判所判事部総括 最高裁判所判事
金谷利廣 1993年- 1996年 奈良地方裁判所長兼奈良家庭裁判所長 東京高等
裁判長官泉徳治 1996年- 2000年 浦和地方裁判所長 東京高
等裁判所長官
堀籠幸男 2000年- 2002年 最高裁判所事務総局事務次長 大阪高等 裁判所長官
竹崎博允 2002年- 2006年 最高裁判所事務総局事務次長 名古屋高 等裁
判所長官
大谷剛彦 2006年- 2009年 最高裁判所事務総局事務次長 大阪高等 裁判
所長官
山崎敏充 2009年- 2012年 千葉地方裁判所長     名古屋高等裁判
所長官
大谷直人 2012年- 2014年 静岡地方裁判所長     大阪高等裁判所長官
戸倉三郎 2014年-   さいたま地方裁判所長




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