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DATE: CATEGORY:杉並からの情報発信です
安田純平さんに高須克弥らネトウヨたちがまた自己責任論バッシング!
人質バッシングのルーツは安倍首相

2018.10.25 Litera

https://lite-ra.com/2018/10/post-4334.html

安田氏の著書『囚われのイラク』

2015年6月にシリアで行方不明となり、イスラム過激派組織「シャーム解放委員会」(旧ヌスラ戦線)に拘束されていたとみられるジャーナリストの安田純平氏が解放され、本日、成田空港に到着した。

今年7月には、黒づくめの人物から銃を突きつけられた状態で「いますぐ助けてください」と安田氏がオレンジ色の囚人服姿で訴える動画が公開されるなど一刻も早い救出が待たれていたが、今回の解放・帰国の知らせは喜ばしい限りだ。

だが、その一方で、懸念されていたことが現実化してしまった。またも「自己責任論」がここぞとばかりに吹き出しているからだ。

たとえば、高須クリニックの高須克弥院長は、24日にこう投稿した。

〈この人には敬意ははらえません。兵士ではない。
兵士ならば敵に媚びる捕虜だ。
出でくるときは定番の作法を守ってほしい。まず『恥ずかしながら・・・』と謝りなさい〉(原文ママ)

さらに、ネット上では、安田氏の解放に安堵したり祝福するのではなく、安田氏に怒りを露わにしたり、糾弾するようなコメントが殺到。

〈ムカムカする。実に腹立たしい。この三年半、掛かった費用を公開してほしい〉
〈あなたを助けるためにかかった諸々の費用はすべて負担してくださいね〉
〈無精ヒゲ剃らずに捕虜生活大変でしたアピールか?
帰国しなくて結構ですけど?〉
〈行くなと言われている場所に自己責任で行った結果でしょ?〉
〈次に誘拐されに行くのは何カ月後ですか?〉

Twitterやまとめサイトのコメント欄などに溢れる〈どの面下げて帰ってくるつもりか〉〈国に迷惑をかけるな〉という非難の声……。なかでも、Yahoo!ニュースのコメント欄はほとんどが自己責任論で埋まるという異常な事態となっている。

しかも、今年7月に公開された動画のなかで、黒ずくめの人物に銃を突きつけられた安田氏が「私はウマルです。韓国人です」と語っていたことから、〈韓国籍のウマルだっけか?
やっぱチョンだから助けたってわけ?〉〈日本に帰ってくるなよ、韓国に行くか自害しろやwww〉などという卑劣なコメントも数多く投稿されている。帰国の途についた安田氏がメディアの取材に対して語ったことによると、犯行グループから「自分の本名や日本人であることは言うな」「韓国人だと言え」と要求されていたためだったというが、ネット上では安田氏解放のニュースに託けたヘイトコメントが垂れ流されている状態だ。

そもそも、安田氏が拘束されている最中から、ネット上では安田氏の自己責任だとがなり立てる声が多く寄せられていた。とくに、安田氏が拘束前の2015年4月にツイートした〈戦場に勝手に行ったのだから自己責任、と言うからにはパスポート没収とか家族や職場に嫌がらせしたりとかで行かせないようにする日本政府を「自己責任なのだから口や手を出すな」と徹底批判しないといかん〉という投稿をあげ、「本人が口も手も出すなって言ってたんだから自己責任でしょ」とあげつらう者が続出しているのだ。

一体、どこをどう読んだら、そんな話になるのか。この安田氏の投稿は、“ジャーナリストに自己責任を押し付ける政府にはジャーナリストに足枷をはめる権利はない”と政府による報道規制を非難しているのであって、政府が安田氏を助けなくていい理由になどまったくならない。しかしこの国では、あたかも「国の命令に逆らう者を救出する必要などない」と考える人が恐ろしく多いのである。

当たり前すぎる話だが、自国民の生命保護は、ほかでもない国家の責務だ。それがたとえ犯罪者であったとしても、政府は法の範囲内において人命を救うために最大限の努力をする義務があり、国民はそれを国家に要求する権利がある。むしろ、「危険地帯に勝手に行ったのだから自分の責任で何とかしろ」などという大合唱が起こる先進国など、どこにもない。

海外メディアは、日本の人質“自己責任”バッシングを「異常」と批判

実際、人質事件が起こると日本に沸き返る「自己責任論」を、海外のメディアは“日本の異常な状況”だと見ている。

たとえば、2004年に発生したイラクでの邦人3名の人質事件の際、日本では自己責任論が噴出。とくに現地でボランティア活動を行っていた高遠菜穂子さんが解放後、「今後も活動を続けたい」と語ったことに対し、当時の小泉純一郎首相は「寝食忘れて救出に尽くしたのに、よくもそんなことが言えるな」と激昂した。

しかし、海外の反応はこれとまったく違った。アメリカのパウエル国務長官が「イラクの人々のために、危険を冒して現地入りをする市民がいることを、日本は誇りに思うべきだ」と発言したことは有名だが、フランスの高級紙ル・モンドも、〈外国まで人助けに行こうとする世代が日本に育っていることを示した〉と高遠さんらの活動を評価。逆に、日本に広がっていた人質への自己責任論については、〈人道的価値観に駆り立てられた若者たちが、死刑制度や厳しい難民認定など(国際社会で)決して良くない日本のイメージを高めたことを誇るべきなのに、政治家や保守系メディアは逆にこきおろしている〉と強く批判している。さらに、〈社会秩序を乱した者は後悔の念を示さなければならないのが日本の習慣〉と、その特異性をも伝えていた。

アメリカのニューヨーク・タイムズも同様だ。〈イラクで人質になった日本の若い民間人は、黄色いリボンではなく、非難に満ちた、国をあげての冷たい視線のもと、今週、故国に戻った〉と日本国内の異常さを表現し、帰国後も自己責任だと人質を追い詰める日本政府の態度を〈凶暴な反応を示した〉と非難。〈(人質である)彼らの罪は、人々が『お上』と呼ぶ政府に反抗したことだ〉と皮肉を込めて論及している。

また、イスラム国(IS)に後藤健二さんと湯川遥菜さんが拘束されたときも、イギリスのロイターは〈日本では、イスラム国人質事件の被害者を攻撃する者がいる〉という見出しの記事を掲載。〈日本政府の対応と同胞である日本市民たちの態度は、西欧諸国のスタンダードな対応とはまったくちがうものだった〉と日本における人質への冷酷な受け止め方を紹介。アメリカのワシントン・ポストも、2004年の邦人人質事件で起こった自己責任論に再び言及している。

もちろん、海外でも、保守系政治家が自国の人質に対して自己責任をぶつことがないわけではない。たとえばフランスでは2009年にジャーナリスト2名がテロ組織に拘束され、当時のサルコジ大統領は2人のことを「無謀」と非難。しかし、市民はこうした政府の姿勢に反発し、2人の救出を求める署名活動やコンサートが企画されるなど、国に対して積極的な対応を求めた。こうした世論がフランス政府を後押しし、結果、2名のジャーナリストは無事、解放されるにいたったのだ。

自己責任バッシングのルーツは安倍首相だった! 

だが、日本はどうだろう。2004年の人質事件で自己責任論をふりかざした急先鋒は当時の自民党幹事長、安倍晋三氏である。とくに、人質が解放された翌日の会見では、「山の遭難では救出費用を遭難者に請求することもある」と発言、政府に救出費用の請求を検討させる姿勢さえ見せたほどだった。この安倍氏をはじめとする政治家たちの新自由主義的な自己責任の大合唱が国民に浸透し、いまではすっかり根付いてしまったのである。

しかし、過去何度も繰り返されてきたこうした自己責任論に対し、今回は早くからそれを牽制する意見も出ていた。たとえば、24日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)では、玉川徹氏が「自己責任論というのは、僕は否定しておきたいたいな、釘を刺しておきたいなと、ほんとうに今回、とくに思います」と述べ、こうつづけた。

「そもそも論から言うと、ジャーナリストは何のためにいるんだ。それは民主主義を守るためにいるんですよ」
「民主主義を守ってるってどういうことかっていうとね、民主主義だといっても国なり企業なりで権力をもっている人たちは、自分たちの都合のいいようにやって隠したいんですよ。でも、隠されているものを暴かない限り、私たちは正確なジャッジができないんです、国民は。正確なジャッジをするためには情報がいるんですよ。その情報をとってくる人たちが絶対に必要なんですね。それをやっているんです、ジャーナリストっていう人たちは。僕なんかはできていないです、そういう意味では。フリーのジャーナリストは命を懸けてやっているんですね。いちばん危ないところにこうやって行かれているんですよ、安田さんは。そういう人を守らないでどうするんだと」

安田氏はイラク軍基地訓練施設に労働者として潜入して戦争ビジネスの実態をレポートした『ルポ
戦場出稼ぎ労働者』(集英社新書)を発表したり、シリア内戦の緊迫した凄まじい日常に肉薄する現地取材を伝えてきた、貴重なジャーナリストだ。しかも、安田氏は自分勝手でもわがままを通した人でもまったくない。国内の大手メディアが報じない戦場やテロリスト組織の実態をあきらかにするために、つまり国民の知る権利を守るために身体を張ってシリアへ渡ったのだ。

こうした民主主義を支える仕事ぶりに敬意を払うどころか、みんなで同調して石を投げつける。なんと冷酷な国だろうかと溜息が出るが、これは遠い国で拘束された人だけの問題などではない。「国が助ける必要はない」などという意見が、さも当然のようにまかり通る国になった結果、いまや保育園に入れないと現状の不備を訴えただけでも「子どもをつくった人の自己責任」と跳ね返す者が現れるような、冷淡な社会になってしまっているということを、よく考えるべきだろう。

(編集部)
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